在庫回転率
■在庫のレベルを見る指標に在庫回転率があります。
在庫回転率は在庫回転期間の逆数です。
在庫は多い、少ないという場合、在庫回転期間でもみることができます。
でも、在庫回転率の方がよく使用されているようです。
■1.何故、在庫回転率が必要か。
何故、在庫回転率が必要なのでしょうか。
在庫管理を進めるためには、「適正在庫」を把握することが重要です。
自社の適正在庫がわからなければ、管理をおこなうことは出来ません。
在庫が、如何に効率よく、製造や販売活動に貢献しているかを把握する必要があります。
その物差しとなるのが、「在庫回転率」です。
■2.在庫回転率の計算式
在庫回転率は、
出庫金額(年間の売り上げ)
在庫回転率(回)=------------------------------
在庫金額(棚卸資産)
(期首在庫高+期末在庫高)/2
で計算します。
在庫回転率は在庫が1年間に何回入れ替わっているか(回転しているか)ということです。
会計年度期間中に売上(販売)された金額が、同期間の期末における在庫(棚卸資産)の金額の何倍あったかを示す指標です。
■3.在庫回転率の意味
商売の基本は、お金で、商品を購入して、それを販売することによって、再びお金になって返ってくることの繰り返しです。
この循環が、何回繰り返されるかによって会社の利益が決まってきます。
在庫回転率は、企業の利益をみるバロメーターになります。
例えば
在庫回転率が2回ということは、在庫が、1年間で2回入れ替わっているということです。
つまり、6ヶ月で売り上げになっているということです。
商品別に計算すると、どの商品が売上・利益を生まないのか、把握することが出来ます。
もちろん、在庫回転率が多い方がよいです。
在庫回転率が多いほど、在庫の入庫から実際の出庫(販売)までの期間が短く、在庫管理が効率的におこなわれていることを示しています。
在庫が何ヶ月も滞留していれば、その在庫にかかった費用(現金)は売り上げにかわっていません。
現金(キャッシュ)がなくなります。
■4.在庫回転率の種類と計算式
在庫回転率は、在庫の状態によって、次のようなものがあります。
製造業では、
- 原材料在庫回転率 = 売上高 ÷ 原材料の棚卸資産(期首在庫高 + 期末在庫高)
- 仕掛品在庫回転率 = 売上高 ÷ 仕掛品の棚卸資産(期首在庫高 + 期末在庫高)
- 製品在庫回転率 = 売上高 ÷ 製品の棚卸資産(期首在庫高 + 期末在庫高)
小売業や卸売業では、
- 商品在庫回転率 = 売上高 ÷ 商品の棚卸資産(期首在庫高 + 期末在庫高)
です。
■5.在庫回転率を上げる対策
在庫回転率を上げるには、まず在庫を分析する必要があります。
在庫は、大きく、次の2つに分類されます。
- 運転在庫
売上・利益に貢献している在庫
- 不要在庫
売上・利益に貢献していない在庫
在庫回転率を上げるには、この「不要在庫」をいかに減らしていくかが重要になります。
次に、「不要在庫」を停滞期間で分類します。
一般的には、「1ヶ月」「3ヶ月」「6ヶ月」といった単位を決めて区分します。
それぞれに対して、以下のような対策をおこないます。
- 「1ヶ月」の滞留在庫
店舗や営業などに、製品別の在庫を連絡して販売促進をおこなってもらいます。
価格を下げたり、海外販売、ネットなどでの販売も検討します。
- 「3ヶ月」の滞留在庫
「1」に加えて、転売や転用なども検討します。
- 「6ヶ月」の滞留在庫
「1」「2」に加えて、商品価値が無くなったものについては、廃棄処分をおこないます。
在庫回転率をチェックする場合に重要なことは、過去からの推移をみたり、同業他社と比較することです。
データは必ず毎月見たほうがよいです。
決算の時のように棚卸資産を厳密に計算する必要はありません。
在庫数を把握してそれに製造原価などをかけて在庫金額を把握します。
そして在庫回転率をチェックします。
必ず推移を見ます。
できれば、部品、原材料、仕掛品、完成品などの品目別にチェックできれば、さらによいですね。
在庫回転率が悪くなっている品目は、必ず原因を調査する必要があります。
●「在庫管理の指標」の関連ページです。
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